上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
今日は五行歌を紹介します。

この歌をつくったのは南三陸町の工藤真弓さん。

町内で神職に就いていました。

津波により自宅を失い、2次避難していた県内加美町の

避難所で歌をつくりました。



五行歌 「暗い森」


ひとり
買い物途中の
大地震
道にしゃがんで
子の名を叫ぶ

急いで帰って
子を抱いて
高台へ走る
何も持たない
子を抱いて

小雪降る
高台に逃げて
あっという間に
波が一気に
押し狂って来た

広報で
警報を
呼びかけていた
女性の声が
途切れる

茶色い波の手が
町を壊してゆく
家が
そのまま
流されてゆく

やめて
やめて
津波に
叫びながら
逃げる

なぎ倒されて来る
電柱柱を
よけて
電線を
くぐって

逃げて
逃げて
もっと高いところ
もっともっと
高いところ

神社の裏山まで
逃げる
町の悲鳴が
足元に響いている
泣いているのに

雪降る中を
家族で逃げる
暗い森も
いのちを守る
灯の中と思う

辿り着いた
小学校の体育館の
片隅ですくむ
余震のたび
子を抱きしめる

わずかな毛布を
かけあって
眠る
砂だらけの足を
重ねて

津波が去って
夜が明ければ
無惨
ひよどりが
慌てて飛んでゆく

町は
消えていた
あまりに非情で
声が出ない
涙も出ない

高台にあった
家は
終着駅
知らない家が
突っ込んでいる

窓が破れて
カーテンが
しずかにゆれている
風も
泣いている

波は
鳥居の下まで
そこから上は別世界
紅梅が咲いて
福寿草が咲いて

海は
無情に
春の海
かがやいている
嘘だと言ってるの?

子を亡くした人
旦那さんに会えない人
何も
言わない
空白の町

避難所で
迎えた
誕生日の夜
マスクをずらして
子がキスしてくれる

次は
いつ戻れるか判らないんです
神さまに
謝って謝って
町を離れる

装束と
笏と
宮司の印は
無事だった
頑張りなさいということ

子が
家族みんなの名を呼んで言う
よんでみただけ
呼んで応える人が
いる

被災して
十日目の夜に
夫が泣いていた
じっと
静かに

もう
私だけの命ではない
空に還った
無数の夢を
叶えるように



波から逃れる様子、変わり果てた町を見ての思い、避難所生活。

多くの町民が見て、感じたであろう思いが詰まった歌だと思います。


gogyougyou

現在、町の総合体育館(ベイサイドアリーナ)に

この歌を展示しております。

人気ブログランキングへ


スポンサーサイト
コメント
 またまた,このブログを見て,いてもたってもいられなくなって書いています。

 この言葉。本当に,その日のことを表しているんだろうね。自分は震災の日に,この町にいることができなかったです。いない方がよかったという思いと,いなかったからこそ,後悔している思いと・・・。今でも,自分の愛する町の姿を見なかった方がよかったか,見るべきだったか。その思いの狭間で揺れています。でもこんな語り部たちの言葉を聞くことで,あの日の状況を知ることができます。あの日の現状を言葉にする・・・。簡単なようでとても,難しいことだと思います。また一つ。あの日のことが分かって,嬉しいような,悲しいような,でも知ることができてよかったと思います。

 ありがとうございます。
コメントの投稿
トラックバック URL
トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。